May. 08, 2014

2014年3月期 決算発表 豊田社長あいさつ

 

2014年3月期の決算は、日本、北米などにおける販売台数の増加に加え、グループ一丸となった原価改善活動により、2兆2,921億円の営業利益を確保することができました。

これもひとえに販売店、仕入先をはじめとする全ての関係者のみなさま、何にも増して世界中でトヨタのクルマをご愛用いただいているお客様のおかげと改めて深く感謝申しあげます。

株主の皆様への期末配当につきましては、1株当り100円を 本年の株主総会へ提案させていただく予定です。これにより、当期の1株あたり配当金は中間配当65円とあわせ、年間では165円となります。
これまで支えていただいた株主の皆様に、これからも末永くトヨタを応援していただけるよう、安定的・継続的な配当に努めてまいります。

また、8月には、より良いモビリティ社会の実現をグローバルで支援するため、「トヨタモビリティ基金」を設立いたします。
活動原資となる自己株式の拠出と合わせて、新たな自己株式の取得を実施し、株主の皆様に還元させていただく計画です。

振り返ってみますと、2009年6月に社長に就任して以降、数多くの試練に直面してまいりました。会社として、社長として、やりたいことができない大変辛く、くやしい思いをしてまいりましたが、逆に言えば、多くを学ばせていただいた期間だったと思います。

急成長しても、急降下すれば多くの方にご迷惑をおかけする。
「持続的な成長」が、最も重要だということも学びました。

かつて、台数が急増し、会社が急成長した裏側では、会社の成長スピードに人材育成が追いつかず、従業員や、関係者の皆様の頑張りに依存した無理な拡大を重ねていました。リーマン・ショックによる赤字転落や、大規模リコール問題もそうした中で起きたものだと思います。

木の幹に例えれば、ある時期に急激に「年輪」が拡大したことで、幹全体の力が弱まり、折れやすくなっていたのだと思います。

この4年間、関係する皆様のご協力をいただきながら懸命に努力を続けたことにより、経営体質は確実に強くなりました。日本においても税金を納めることができる状態となり、文字どおり「持続的成長」のスタートラインから一歩踏み出すことができると感じています。

「持続的成長」とは、どのような局面でも、1年1年着実に「年輪」を刻んでいくことです。トヨタは創業以来、買収による拡大ではなく、1台1台の積み重ねでこれまで成長してきました。そして、今、世界販売1,000万台という大きな変化点を迎えています。

前例もお手本もない、誰も経験したことがない未知の世界で成長し続けるためには、人材育成と同じスピードで年輪を重ねていく、身の丈を超えた無理な拡大は絶対にしないという「覚悟」が必要だと思っております。

また、将来に向けて経営資源を振り向けられる今こそ、思い切った変革や将来の成長に向けた種まきを積極的に進めていきたいと思っております。

例えば、昨年4月に導入した4つのビジネスユニットを軸とする新体制では、より現場に近いユニットのトップが、迅速な意思決定と自律的な事業運営を行い、規模・モータリゼーションのステージが異なる市場に、きめ細かな対応ができる体制を整えてきました。

今年は、その考え方を一歩進め、プラットホームごとにクルマづくりを考える取り組みも始めました。例えば、チームKでは、カムリ、アバロンのように、同じKプラットホームを活用する車種の開発・調達・生産を一気通貫で担当します。これまでは、車種単位での個別最適に陥りがちだった開発の進め方をより大括りにして、チーム全体でもっといいクルマをつくる取り組みです。

また、先日公表しました「北米本社機能の移転」ではお客様のご要望に迅速に対応し、お客様のご期待を超える「もっといいクルマづくり」につなげるため、製造・販売・金融の各事業体の垣根を越えた北米事業の一体化(One Toyota)を図るなど、事業構造を抜本的に見直してまいります。

そして、将来の成長の糧となる新技術、「イノベーション」への取り組みも加速していきたいと思います。環境技術の核となるハイブリッドを強化、発展させることはもちろん、低燃費ガソリンエンジン、燃料電池車、お客様に「安全・安心」をお届けするための安全技術の開発と実用化、次世代モビリティ、ITインフラの革新などに、積極的にリソーセスを投入してまいります。

最後に、「成長」に対する私の考えをお話しさせていただきたいと思います。
繰り返しになりますが、私は、トヨタを「成長し続ける」会社にしたいと思っております。リーマン・ショックのような大きな危機に直面した時でさえも、急降下することなく、踏みとどまる、もしくは、そうした局面でも成長を続けることができる会社にしたいのです。

では、成長のエンジンとは何か。
あたりまえですが、お客様を笑顔にする魅力ある商品、「もっといいクルマ」と、それを生み出す「人材」です。
そして、「もっといいクルマ」は、当事者意識を持ち、現地現物で考え、即断・即決・即実行することができる「現場」からしか生まれないのです。

しかし、会社の規模が大きくなればなるほど、これまでは当たり前にできていたことができなくなります。また、危機的状況の時にはできるのに、平時になるとできなくなるということも起こってきます。再び成長拡大局面に入りつつある今こそ、実は危機的状況に置かれているということだと理解しております。

ビジネスユニットやチームKをつくる意味もそこにあります。そういう単位でいくつものトヨタが自ら自律的に考え実行する「現場」を再構築したいと思っております。

1,000万台の今のトヨタと600万台の以前のトヨタでは成長の意味が全く異なります。
台数や収益も大切な成長の「ものさし」の1つではありますが、いくつものトヨタが、自分達の「ものさし」を持って「真の競争力強化」に集中して取り組むことにより、トヨタ全体の経営体質は更に強くなっていくと思います。

そのための私の役割は、それぞれのトヨタがばらばらになることなく、「1つのトヨタ」であり続けられるよう、ビジョンを掲げ、トヨタの進む方向を示し続けていくことだと考えております。

グローバル33万人のトヨタ従業員が「心をひとつに」「安全・安心」とクルマを運転する「喜び・笑顔」をお届けし、「いい町いい社会」の実現に向け精一杯努力してまいりますので、皆様からの変わらぬご支援をお願い致します。

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  • 取締役社長 豊田章男
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  • 取締役副社長 小平信因
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  • 常務役員 佐々木卓夫
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  • 会見の様子
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