2017年01月10日

(米国東部時間 : 2017年01月09日)

2017北米国際自動車ショー トヨタプレスカンファレンス
代表取締役社長 豊田章男 あいさつ文

 

オープニング2台の新型カムリが登場

みなさんこんにちは! ここで、賭けだとは分かって皆さんにお聞きしますが…この新型カムリはいかがですか?

このカムリを見ていると、私が場違いなところに立っているのではとすら思えるほどです。 トヨタをこれ以上うまく代弁するものがないほど、新型カムリは、私たちトヨタがブランドとして向かいたい方向性を全て物語っています。

実用的でありつつも、ドライバーを夢中にさせることができます。 お手頃なクルマでも、注目を集める魅力があります。

今壇上にはXLEグレードとXSEグレード、2つのクルマがあります。 お客様には、非常に際立った2つの新型カムリからお選びいただくことになります。 前者は「セクシー」なカムリ、後者は「本当にセクシー」なカムリです。

カムリを「セクシー」と呼ぶのは大げさかもしれません。 しかし、私自身心から、デザイナー達が「場外ホームラン」とも言える成果を出してくれたと思っています。

私たちの目標は、ベースのXLEを一層高級感あるものに、XSEを大変スポーティかつ独特のデザインにすることでした。 それを200ヤード先から見ても分かるほどに。

私自身がデザインの過程に携わりたいと思っていることをご存知の方も多いかもしれませんが、今回はデザイナーとともに、3つの最終候補からこの初期スケッチを選びました。 ご覧の通り、デザイナーやエンジニア達は、このコンセプトに非常に忠実に仕事を進めてくれました。

このスケッチは、当時米国のデザイン拠点Calty Design Research, Inc.から日本のトヨタ本社に出向していたデザイナーが作成したものです。

デザイナーの名前、“Ian Cartabiano”がスクリーンに

彼の名はイアン。 苗字は読み上げようとも思いません(笑)。

Toyota New Global Architecture(TNGA)の成果もあり、エンジニア達は、低重心化と非常に複雑なエクステリアを実現することができました。

カムリは1982年に初代が開発されて以来、トヨタの基幹車種として、私たちにとって、特に米国でクルマの開発、生産、販売に携わる約13万6,000名のトヨタのメンバーにとって、非常に重要なクルマであり続けてきました。

私たちトヨタがこれまでの60年間で米国に220億ドルを投資してきたのはなぜか。 そして、今後わずか5年間でさらに100億ドルを米国に投じる予定なのはなぜか。 このカムリというクルマは、その理由の一つです。

カムリを15年連続で米国のベストセラー・カーにしてくださった、何百万ものお客様に、深く御礼申し上げたいと思います。 ただ、これを当然のことだとして、漫然と受け止めることは許されません。 だからこそ、この新型カムリを世に送り出したいのです。

私たちはこのカムリを、ミッドサイズセダンの市場を再度盛り上げるチャンスだと捉えています。 SUVだけが栄光を独占するべきではないですよね。 このミッドサイズセダンの市場が米国自動車業界にとって大変大きなものであることに変わりはありません。 そしてこのカムリは、トヨタの米国生産の非常に大きな部分を占めているのです。

米自動車ウェブサイトCars.comにおいて、カムリは、あらゆるメーカーが生産するあらゆるクルマの中で「最もアメリカンなクルマ」との評価をいただいております。 お客様に広く知られていることかどうかは分かりませんが、ケンタッキー州ジョージダウンにあるトヨタ最大の工場で働く7,700名の従業員一同は、大変誇りに感じていると思います。 もちろん私もです。

今この瞬間も、ケンタッキー工場では約1分に1台、カムリが生産されています。 こうしたチームワークがあるからこそ、トヨタは米国で30年以上にわたり、2,500万台以上のクルマを生産してこられたのです。 このことにただただ驚嘆を禁じえません。

新型カムリの生産も、ケンタッキー工場でまもなく始まります。 この新型カムリが、私たちがこれまで生産してきたカムリの中で、最高の世代になると心から信じています。

私たちの目標はただ、この新型カムリを可能な限り、事前の予想を覆す刺激的なクルマに仕上げることでした。 そのため、今皆さんの前にある2台のカムリに加え、更にスポーティなツートーンカラーのカムリもご用意いたしました。

米国トヨタ、シニア・バイス・プレジデント、ボブ・カーター(以下、ボブ)が、ツートーンカラーのカムリに乗り登場
豊田
やぁボブ。 いいクルマだね。
ボブ
その通りだよ。 このレッド・レザーのインテリアを見てごらんよ。 素晴らしいクルマだと思わないかい?
豊田
まさに。 皆さんもボブの感激する気持ちに共感せずにはいられないですよね。 ボブ、このツートーンが君のお気に入りなのかい?
ボブ
いや、実は僕のお気に入りは、これなんだよ。
NASCAR仕様のカムリがステージ上に登場
ボブ
皆さん、新しい2017年型NASCARカムリを紹介します! ご存知の通り、トヨタは2015年にNASCARのスプリントカップチャンピオンシップ(ドライバーズタイトル)で優勝し…。
豊田
(言葉をさえぎり) でも去年じゃないよね。
ボブ
いや、確かに去年は違ったけれど、カイル(カイル・ブッシュ)は本当に惜しい...。
豊田
惜しかった、ではダメなんだよ、ボブ。
カーター
その通りだけど、トヨタはスプリントカップで、(開幕戦の)Daytona 500など36戦のうち16戦で勝利し、マニュファクチャラーズチャンピオンに輝いたよ。 ここでちょっとしたサプライズを用意したんだ。 皆さん、2016年Daytona 500で優勝を飾ったデニー・ハムリンと、2015年スプリントカップチャンピオンのカイル・ブッシュです!
カイル・ブッシュ(以下、カイル)とデニー・ハムリン(以下、デニー)がトロフィーを持って登場
カイル
章男社長、全てのトヨタNASCARチームを代表し、このマニュファクチャラーズ優勝カップをプレゼントできることを大変うれしく思います。
豊田
ありがとう、カイル。 素晴らしいね。 だけど、本当のところ、何が起こったんだい? ドライバーズタイトルをほぼ手中に収めていたのに...最後のところで...。
カイル
そうなんです、そう心配しないでくださいよボス。 2017年は優勝しますよ!
豊田
(デニーに対し) このDaytona 500のトロフィーも僕にくれるのかい?
デニー
いえ、カイルが近くで見られるように持ってきただけです。
カイル
(皮肉交じりに) ありがとう。 最高だね。
ボブ
トヨタNASCARチームが今年はこのカムリで参戦し、来月のDaytona 500でデビューするのはグッドニュースだね。 引き続きトヨタファミリーがこのトロフィーを手にすることを期待してるよ!
カイル
分かりました。
ブッシュ
お任せください。
豊田
皆さま、カイル・ブッシュとデニー・ハムリンでした!
カイル・ブッシュ、デニー・ハムリン、ボブ・カーターが降壇

さて、少しからかってしまいましたが、彼らが成し遂げたことを心の底から誇りに感じています。 私自身もドライバーとして、彼らがいかに命がけでそれぞれのレースを戦っているかを知っており、感謝の気持ちでいっぱいです。

NASCARに参戦して10年、今は我々も、そのファミリーの一員のように感じることができ、それは大変光栄なことだと思っています。

また本日、お越しいただいた皆様とご一緒できたことも大変光栄なことです。 記者の皆様のご指導・ご支援により、私たち自身が成長できることに御礼を申し上げます。 こうしたご指導こそが私どもにとって、この新型カムリのようなクルマをつくる力となるのです。 私はとても誇らしく思います。 まさにトヨタ! と呼べるこのクルマを!

どうもありがとうございました。

以上